
酸を用いて表皮の古くなった角質層をはがし、肌を生まれ変わらせるケミカルピーリング。その歴史はとても古く、古代エジプトの女性たちが好んで入っていたという牛乳風呂には、AHAの一種である乳酸が豊富に含まれていました。
治療に使われ始めたのは20世紀に入ってからで、1960年代にはケミカルピーリングの基礎が確立されます。しかし当時用いられていたフェノール酸は刺激が強くトラブルも多かったため、1970年代に入ってTCA、その後AHAやBHAなどの弱酸が開発されました。
日本人は白人に比べると角質が薄く、強い酸を塗るとケロイドを起こしやすいなどの難点があります。またメラノサイトの活性が盛んなため、強い酸では色素沈着を起こす可能性が高いため、ケミカルピーリングの上陸には時間がかかりました。有色人種も安心して使えるAHAやブルーピール(TCA)が開発される頃になってようやく日本でも一大ブームが巻き起こりました。
しかし一部のエステなどで日本人の肌に合わない強い酸を用いたり、間違った処方を行ったりしたため、「ケミカルピーリングは危険」とまで言われました。最近ではこのような誤った処方も少なくなりましたが、ケミカルピーリングを行う際には、熟練した医師が、患者さんの肌質をよく見極めて、一人ひとりに合った酸やその濃度を選ぶ必要があります。
ケミカルピーリングは、使用する薬剤の浸透度の深い順からいうと「ディープ」「ミディアム」「スーパーフィシアル」の3段階に分かれています。AHA、BHAはスーパーフィシアルに属し、ブルーピールはミディアムに属します。
フルーツ酸を用いたピーリングでは、フルーツ酸によりバリア機能である角質の接着力が弱まるため、ピーリング後にビタミンAやCをイオン導入などで浸透させると、より効果は高くなります。またホームケアとして、ビタミンAの一種であるレチノイドや、美白剤であるハイドロキノンなどを用いることにより、さらに確かなピーリング効果を得ることができます。
ピーリング剤は、その人が何を治したいかによって選ぶものも変わってきます。また生活スタイルやバックグラウンドも大切です。人に接する機会が多い患者さんには、強い反応を起こすピーリング剤を使わないなどの配慮も必要です。
肌の状態を見ながら酸の濃度を徐々に上げていくケミカルピーリング。4〜6回の治療で、くすみ、ニキビなどがきれいに改善されます。
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